露草・月草

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3歳ぐらいのころ。祖母に連れられて、田んぼのあぜ道を歩いていた時。

道端にこの青い花が咲いていた。ちょうど、子供の目に留まる、低い位置に咲いていたんだよね。世の中にはこんなきれいな色があるんだって、しばらくしゃがんで眺めていた。

(そのころは、まだ家の周辺しか行ったことがなかったので…。でも、21世紀の現代っ子だったらあんなに鮮やかに思わなかったかも…。ネットを見ていたら、ツユクサについて「子供のころから好きな花です」って書いている人がいました。子供心をひきつける花なのかな。なんとなく、子ども時代を田園地帯ですごした人なのかなって思った。)

 

この花はどんな名前なんだろうって思ったんだけれど。

どうやって調べたらいいのかわからず。

 

自分で文字が読めるようになってから数年経ったころ、家にあった植物図鑑を眺めていたら、この花が載っていた。

ツユクサ

がっかりした。もっと素敵な名前の方が合っていると思った。

 

でも、先日ネットで調べていたら、万葉集では露草は月草と表記されていたと書かれていた。

「月草」だったら、心が惹かれた青い花に似合う、子供のころの私も納得する名前だったなあ。

それから、道に咲く青い花をきれいだなあと思った古代の人と同じ感性を持っていたんだなあ、と万葉集の詠み人に親近感を持ちました。

 

ツユクサと文学 『万葉集』には月草・鴨頭草(つきくさ)を詠ったものが9首存在し、古くから日本人に親しまれていた花の一つであると言える。朝咲いた花が昼しぼむことから、儚さの象徴として詠まれたものも多い。

ツユクサ - Wikipedia

  • つき草のうつろいやすく思へかも我(あ)が思(も)ふ人の言(こと)も告げ来(こ)ぬ(巻4 583)
    月草之 徒安久 念可母 我念人之 事毛告不来
  • つき草に衣(ころも)ぞ染(し)むる君がためしみ色(或 まだらの)ごろもすらむと思(も)ひて(巻7 1255)
    月草尓 衣曽染流 君之為 綵色衣 将摺跡念而
  • つき草に衣(ころも)色どりすらめどもうつろふ色と言うが苦しさ(巻7 1339)
    鴨頭草丹 服色取 摺目伴 移變色登 稱[4]之苦沙
  • つき草に衣(ころも)はすらむ朝露にぬれての後はうつろひぬとも(巻7 1351)
    月草尓 衣者将摺 朝露尓 所沾而後者 徒去友
  • 朝露に咲きすさびたるつき草の日くたつ(或 日たくる)なへに消(け)ぬべく思ほゆ(巻10 2281)
    朝露尓 咲酢左乾垂 鴨頭草之 日斜共 可消所念
  • 朝(あした)咲き夕(ゆうべ)は消(け)ぬるつき草の消(け)ぬべき戀(こひ)も吾(あれ)はするかも(巻10 2291)
    朝開 夕者消流 鴨頭草之 可消戀毛 吾者為鴨
  • つき草の假(か)れる命にある人を(或 假なる命なる人を)いかに知りてか後もあはむといふ(或 あはむとふ)(巻11 2756)
    月草之 借有命 在人乎 何知而鹿 後毛将相云
  • うち日さす宮にはあれどつき草の移ろふ心わが思はなくに(巻12 3058)
    内日刺 宮庭有跡 鴨頭草乃 移情 吾思名國
  • 百(もも)に千(ち)に人はいふともつき草の移ろふこころ吾(われ)持ためやも(巻12 3059)
    百尓千尓 人者雖言 月草之 移情 吾将持八方

また、俳句においては、露草、月草、蛍草などの名で、秋の季語とされる。

 

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